来年国試を受ける皆さん、国試対策はもう始めているでしょうか?
今回は過去問から問題を出しますので一緒に考えて見てくださいね!
今回は固定に関する問題です。
第27回歯科衛生士国家試験からの出題です。
固定に関する出題
矯正装置の写真を示す。
固定の種類はどれか。
a 顎間固定
b 顎内固定
c 顎外固定
d 相反固定
固定に関する出題の解説
固定の種類には以下の4つがあります。
①顎間固定
②顎内固定
③顎外固定
④インプラント(矯正用アンカースクリュー)による固定
前回の国試対策の類似問題の解説では、①顎間固定の顎間ゴムの種類について説明しましたので、今回はそれ以外の3種類の固定について説明していきます。
② 顎内固定について
固定源が移動する歯と同じ顎内に存在する場合を顎内固定といいます。
例えば、第一小臼歯の抜歯空隙に向かって犬歯を遠心移動させるときに同じ顎内の臼歯を固定源とする場合や、舌側弧線装置の補助弾線を用いて歯を移動させる場合などがあります。
上顎第一大臼歯から上顎犬歯を引っぱっている。 |
*補助弾線付きリンガルアーチ:上顎大臼歯にバンドを装着したリンガルアーチにより補助弾線によって上顎両側中切歯を唇側に移動している。 |
③ 顎外固定
歯や顎骨に矯正力を加える場合に、その固定源を口腔外に求める場合を顎外固定といいます。
例えば、ヘッドギアや上顎前方牽引装置、チンキャップなどがあります。
*ヘッドギア
*上顎前方牽引装置
*チンキャップ
④インプラント(矯正用アンカースクリュー)による固定
歯槽骨や顎骨に生体親和性のある金属のネジなどを固定し、それを固定源として歯を移動する場合の固定をいいます。
*歯科矯正用アンカースクリューを固定源して犬歯を遠心に引っ張っている。 |
〇補足
相反固定は抵抗の性質による分類の一つで、教科書的には移動しようとする目的の歯と固定源となる歯の双方が同様の矯正力によって移動されることが治療の目標にかなう場合の固定の様式です。
どういうことかというと、例えば正中離開している中切歯の双方を正中に移動させるときなど、矯正力をかけあう歯、もしくは歯群同士が互いに固定源となり、また移動歯にもなり移動しあう様式のことです。
正中離開している左右の上顎中切歯にパワーチェーンをかけて双方を正中に移動させている。上顎の顎内固定である。 |
以上より正解は c 顎外固定になります。
今回の国試問題いかがだったでしょうか?
これを機に固定の種類への理解を深めて類似問題にトライしてみて下さいね。
次回もお楽しみに!
<参考文献>
・日本医歯薬研修協会 Complete+DH 歯科衛生士 国家試験完全攻略2022年版p.438より引用。
・医歯薬出版株式会社 歯科矯正学 第5版 p.186-191より引用。