衛生士国家試験の対策と傾向
今年国試を受ける皆さん、新学期が始まりましたが、国試対策へのスタートは切っていますか?
今回も前回に引き続き過去問から1問出しますので一緒に考えて見てくださいね!
今回は下顎骨の成長発育に関する問題です
第29回歯科衛生士国家試験より出題です。
下顎骨の成長発育に関する出題
下顎骨の模式図を示す。
軟骨性成長を示す部位はどれか。1つ選べ。
a ①
b ②
c ③
d ④
下顎骨の成長発育に関する出題の解説
下顎骨の成長発育は下顎頭における軟骨性成長と他の部位の骨膜性成長によっておこります。軟骨性成長とは、軟骨が石灰化して骨が形成され、骨の長さが増加することで、骨膜性成長とは、骨の表面に骨質が付加されることから、骨の太さや厚みが増加することです。
下顎骨には軟骨が下顎頭にしかないため、
軟骨性成長を示すのはd④の下顎頭になります。
ちなみにどの部位が骨添加、骨吸収するのかの類題に備えて以下も覚えておくといいですよ!
下顎骨の成長発育は、下顎頭における軟骨性成長によって下顎骨全体が頭蓋に対して前下方に発育するとともに、骨膜性成長が生じます。
骨膜性成長により各部で骨添加(+)と骨吸収(–)が生じます。(下図)
<骨添加> <骨吸収>
A;下顎枝後縁 B:下顎枝前縁
C:歯槽部 E:切歯歯槽部唇側
D:切歯歯槽部舌側
F:オトガイ部
もっと詳しく
下顎枝前縁での骨吸収(B)と後縁への骨添加(A)で下顎枝は後方へ移動すると共に下顎骨体長が増大します。
歯槽部(C)には歯の発育と萌出に関連して骨が添加します。
切歯歯槽部では舌側面の骨添加と唇側面の骨吸収が生じます。(D,E)
幼児期以降、オトガイ隆起が骨添加により形成され、思春期の二次性徴の発達とともにオトガイの突出が顕著になります。(F)
※ちなみに、軟骨性成長は頭蓋では下顎頭および頭蓋底軟骨結合部(蝶形骨、篩骨、後頭骨)、鼻中隔でみられます。
今回の国試問題いかがだったでしょうか?
これを機に成長発育への理解を深めて、類似問題にトライしてみてくださいね。
また次回もお楽しみに!
<参考文献>
・日本医歯薬研修協会 Complete+DH 歯科衛生士 国家試験完全攻略2022年版p.417より引用。
・医歯薬出版株式会社 歯科矯正学 第5版 p.36~39より引用。